ツイードってどんな生地?生地の特徴を解説
イギリス・スコットランド発祥の高級生地である「ツイード」。主に、冬の衣料用として重宝されるツイードは、独特な風合いと、高い防寒性が魅力です。そこで今回は、ツイードが持つ特徴をご紹介していきます。
ツイードとは?
ツイードの特徴
-特徴1:防寒性に優れている
-特徴2:耐久性が高い
-特徴3:美しい色柄
-特徴4:柔らかく馴染んでいく
-特徴5:重量がある
ツイードの取り扱い上の注意
仕立てるのに向いているアイテム
ツイードのお手入れの仕方
ツイードとは?
ツイードとは、短い羊毛を紡いで作られる「紡毛(ぼうもう)織物」の一種になります。紡毛とは、刈り取った羊毛を、揃えたり伸ばしたりすることなく、そのまま紡いでいく製法のことをいいます。繊維が短い分、使う羊毛の量が多いので、生地が肉厚で、保温性が高いのが紡毛織物の特徴です。また、紡毛とは対照的な「梳毛(そもう)」という製法があります。梳毛とは、同じく刈り取った羊毛の中から、均一な長さのものを選り分けて、縮れを伸ばし、一方向に揃えて作る製法です。紡毛に比べて保温性は落ちますが、滑らかで光沢感があるのが梳毛織物の特徴です。基本的にツイードは紡毛糸で作られますが、近年では梳毛糸を使った生地も作られています。またツイードは、メルトンのように縮絨(しゅくじゅう)・起毛は施さないので、織り目がはっきりしているのも特徴です。そのため、ツイードには「ヘリンボーン」「チェック」などいろいろな織り柄があるのも魅力の一つです。
ツイードの特徴
ツイードは、発祥地・産地によっていくつか種類があり、その中でもハリスツイード、ドネガルツイード、シェットランドツイードは「世界の3大ツイード」と呼ばれています。産地によって、ネップや生地の風合いなどが異なりますが、今回はツイード全般が持つ特徴をご紹介します。
防寒性に優れている
まず第一に、スコットランドの厳しい寒さで育った羊毛は、素材本来の暖かさが他の産地の羊毛とは大きく違います。また、紡毛織物は糸と糸の間に空気が含まれているので、保温性が高く、風を通しくいのも防寒性の高さにつながっています。
耐久性が高い
イギリス・スコットランドでは、親子3代でジャケットを引き継ぐと言われているほど、ツイードは丈夫で長持ちする生地です。また、起毛素材に比べて毛玉もできにくく、きれいな状態で長く使うことができます。
美しい色柄
ツイードは、何色もの糸を使って織り上げるので、グラデーションのある美しい色柄が大きな魅力です。また、紡毛ならではネップ(節)が、合成繊維にはない重厚な風合いを生み出しています。
馴染んで柔らかくなる
最初はザラザラとした肌触りで硬いツイードですが、使っていくと柔らかさが増して、どんどんと馴染んでいきます。その点では、デニムと似ており、愛着を持って長く使うことができます。また、ツイードは綾織りなので、生地自体に伸縮性があるのも着やすさのポイントです。
重量がある
ツイードは暖かくて丈夫ですが、その分重量があります。ただ、近年では軽くて柔らかいツイードも作られているので、用途や好みに合わせて生地を選ぶことができます。
ツイードの取り扱い上の注意
ツイードはウールを使用しているので、基本的に水洗いすることはできません。品質表記で手洗い可能になっている場合も、縮みなどの変形や、摩擦で生地の風合いが損なわれる可能性があります。また、家庭用洗濯機のドライクリーニングは、有機溶剤を使うクリーニング店の方法とは異なり、あくまで水洗いなので間違えないように注意しましょう。
また、ウール製品でもっとも気をつけなくてはならないのが、虫食いです。ツイードは気軽に洗うことが出来ないので、日頃はブラッシングでホコリを取り、シーズン終わりに必ずクリーニングをしてから、防虫剤を使って保管するようにしましょう。
仕立てるのに向いているアイテム
ツイード自体はそこまで縫いにくい生地ではありませんが、衣類を作る場合は裏地を付けることが多いので、アイテムによっては難易度が高くなります。そこで今回は、裏地なしでも作れるおすすめアイテムをご紹介していきます。
ズボン・スカート
タイツの上から履けるズボン・スカートは、裏地がなくてもチクチクしないので、気軽に使うことができます。特に、男の子も女の子も使えるショートパンツやかぼちゃパンツは、コーディネートしやすいのでおすすめです。
バッグ・ポーチ
ツイードを使ったバッグ、ポーチも定番のアイテムです。秋冬以外も使いたい方は、帆布などの他の生地と組み合わせたり、おしゃれに使いたい方はレザーと組み合わせるなど、アレンジしても面白いです。またツイードは強度が高いので、ポケットティッシュカバー、オムツポーチなどの日常で使う小物にもおすすめです。
ステーショナリー
ツイードは丈夫で汚れも目立ちにくいので、ペンケース、ブックカバー、タブレットケースなどのステーショナリー全般でおすすめです。ほかにも母子手帳カバーなど、さまざまな手作りギフトにも最適です。
ランチョンマット・コースター
ランチョンマット、コースターといったシンプルなインテリア雑貨も、ツイードを使えばおしゃれな北欧風に作ることが出来ます。ツイードにはいろいろな色柄があるので、好みの生地を選んでセットにするのがおすすめです。
ツイードのお手入れの仕方
ツイードは、糸と糸の間にホコリがたまっていくので、日頃からブラッシングで掃除をすると生地が長持ちします。ブラシは、馬毛や豚毛を使った天然毛が理想ですが、合成繊維を使用した洋服ブラシでも問題ありません。ただし、強くこすったり、繊維の流れに沿ってブラッシングしないと生地の劣化につながるので、注意しましょう。
次に洗濯方法です。まず第一に、品質表記の確認は必須ですが、基本的にツイードの水洗いは避けましょう。小物であれば、温度の低い水で軽く揉み洗いすることは可能ですが、裏地が付いているものや、型崩れが起きてしまうものは、クリーニング店でドライクリーニングするようにしましょう。またシワが付いた場合は、スチームアイロンをかけることが可能ですが、多めに霧吹きをして一晩吊っておくと、ある程度のシワであれば伸びるので、ぜひ試してみてください。
価格は少し高めですが、ツイードは大切に使えば何年も愛用することができる生地です。ツイードにはたくさんの色柄があるので、もしお気に入りのツイードに出会ったときは、ぜひソーイングにチャレンジしてみてくださいね。