【ハンドメイド暮らし】クリエイターのお仕事ファイル~spring mum(シモジ ヒロミさん)~
ハンドメイドをはじめた人なら一度は夢見る、ハンドメイド作家デビュー。
今では、ハンドメイド作家さん専用の販売サイトも増え、ひと昔前よりも手の届きやすい存在になりました。
そこで、nunocoto fabricでは、実際にヒット作やユニークな作品を生み出し、活躍されているハンドメイド作家さんにお話を伺い、リアルな暮らしを皆さんにお届けすることにしました。
nunocoto fabricで取り扱う布や、型紙を使って作った作品は、販売してよいものばかりです。この連載を通して、もう一歩、ハンドメイド作家デビューを目指す方のお役に立てたらと思います。
第7回目は、
spring mumというブランド名で、刺繍のアクセサリーや雑貨を中心に創作活動をしているシモジ ヒロミさん。
温かみのある手描き調の刺繍は、見る人をほっこりさせてくれます。
その原案はどうやって生まれるのか、シモジさんの創作活動、そしてハンドメイドのある暮らしを紹介します。
シモジさんの刺繍の作風は、とってもユニークですね。
そもそも刺繍をはじめたきっかけは何だったのでしょう?
シモジさん:長男が4、5才の頃に描いてた絵や文字がわたしは大好きで、何か形に残したいと思い、刺繍はしたことがなかったのですが、見よう見まねで次男のTシャツなどに長男が描いた絵や文字を刺繍しはじめました。
息子たちが絵を描かなくなった頃にはもう刺繍が楽しくなっていて。
作品を作りたいというよりも刺繍をしてたい気持ちが強く、図案を探したりしていつしか今のブローチ作りにたどりつきました。
このカメレオンTシャツが始めての刺繍作品です。
ユニークな温かみのある作品は、実際のお子さんのイラストがベースになっていたのですね。初期のころの作品から、現在の作風が伺えますね。 そこからどのようにハンドメイド作家になられたのですか?
シモジさん:わたしは出産が早かったので息子たちが二十歳になった時には、まだ40代。『40代、自分のやりたいことやれるよな。やりたいこと見つけておきたいな。』とゆう考えは常に頭にあったような気がします。
同時に、息子たちが学校を卒業したら、わたし自身が人と知り合う機会がなくなってしまうとも思っていたので、長男が中学に上がった頃から、ネット販売よりもイベント出展の方を調べ始めていました。
イベントでの販売を中心にはじめられた作家生活。
現在、どのくらいの頻度でイベントに出展されているのでしょう?
シモジさん:1~2ヶ月に1度くらいのペースです。
最初はどのようにアプローチしましたか?
シモジさん:販売をはじめようと思った当時、近くの地域でイベント出展しているグループを見つけ、参加させてもらえないかという内容のメールを送ったんです。
そこで初出展させてもらうことができたのですが、初めてのイベントが駅構内での開催だったんです。
そのおかげで、作家活動のスタートから、たくさんの方に手に取って見てもらうことができ、とても貴重な経験をさせてもらいました。
イベントで作家さんの知り合いができ、回数を重ねるたび輪も広がり、色んなイベントに参加させてもらえるようになりました。
伊勢丹など百貨店への出展もされてますが、委託先はどのように開拓されましたか?
シモジさん:委託先はインスタグラムのDMでご連絡を頂いたり、イベントでお声がけ頂き、お取り扱いさせてもらっています。
百貨店での出展はイベントで知り合った作家さんにお声がけいただいたのがきっかけです。
作家さん同士のつながりが、販路拡大に自然とつながっていったのですね。
他の作家さんにお声がけいただけるというのは、作品の力が大きいと思うのですが、どんな時に作品のアイディアを思いつきますか?
シモジさん:わたし自身、イラストが描ける方ではないので、図案集からアイディアを得ることが多いです。
実は、現在販売している人気のモチーフ゛お買い物くまさん"は、息子たちの小学校の廊下に貼られていた子供の絵を原案にしているんです。
それはおもしろいですね!子供たちの自由な線で描かれた絵は、何か人を惹きつける力がありますよね。
作品を作るときに影響を受けるものはありますか?
シモジさん:新しいモチーフを考えるときはまず、野ばら社の図案集をペラペラ眺めています。
雑誌の配色も参考にしていますね。同じ図案でも色の組み合わせでガラリと雰囲気が変わるので、気に入った配色を見つけたらすぐ試してみたくなります。
こどもたちのユニークで温かみのあるイラストを上手に取り入れながら、カラーは忠実に図案集を参考にすることで、刺繍作品としての完成度を上げられているんですね。 そんなシモジさんの今シーズン最も作りたいアイテムが気になります。
シモジさん:ピアス・イヤリングです。
いつもブローチ作りで手一杯でなかなかピアスなどをイベントに持っていけないので、今シーズンこそは持っていきたいですね。
それと子どもの描いた絵はまた刺繍したいな~という思いがずっとずっとあります。
刺繍のピアスとイヤリングは人気のアイテムですよね。
シモジさんならではの新作、ぜひ見てみたいです。
そして、こんなにたくさんのカラフルなイラストを刺繍されていると、資材がたくさんあって整理が大変そうですが、お裁縫道具はどのように整理されていますか?
シモジさん:うちには黒猫さんがいるので刺繍糸は出しておくとすぐ持っていかれてしまい…。
だから1色ずつ袋に入れて使うとき選びやすいよう同系色をリングで留めています。
糸が絡まるのも防げるし、買い足しに行く時も袋ごと持っていけるのでかなり便利です。
刺繍セットは常に作業場所のダイニングテーブルの隅っこに置いてあり、手が空けばちょこちょこ刺繍してます。
現在、ご主人と、大学生・高校生の2人の息子さん、そして黒猫の春菊ちゃんと暮らしているシモジさん。どのような1日を過ごしているのでしょう?
お仕事もされながら、1日2回、ハンドメイド作家としての時間を作っているんですね。
シモジさん:家で過ごす時間が好きなので刺繍している時間はだいたいほっとしてます。(笑)息子たちも大きくなり自分の時間も増えたので製作時間にまわせているんです。
創作活動の時間は、チクチクゆっくり流れているんですね。
作品が売れたときの自分へのご褒美などはありますか?
シモジさん:イベントに参加するとそこでしか出会えない他の作家さんの作品とも出会えるので、イベント終わりはいつもご褒美でお買い物も楽しんでいます。
下の子がサッカーをやっていたので小学生のうちは試合や送迎、当番などがあったりであまり製作に集中した時間はとれなかったけれど、中学生になってからはかなり製作時間も増えイベントにも出向けるようになりました。
最後に、とても美しい配色の刺繍を生み出すシモジさんに、nunocoto fabricの布の中で、最もお気に入りの柄を聞いてみました。
シモジさん:home(ホワイト)とtrees(グレー)で悩みましたが、trees(グレー)で大きなエコバッグ作りたいです。
シンプルな柄のセレクト。ぜひ、シモジさんらしい刺繍のワンポイントを加えていただけたら、素敵な作品に仕上がりそうですね。
月に1~2回のイベント出展と販売委託を行っていて、慌ただしい毎日を送られているイメージがありましたが、シモジさんいわく、創作活動は、”ほっとする時間”
そのゆっくり流れる時間の中で作られた作品には、心地よい”ゆるさ”と他ではマネすることのできない”温かみ”がありました。
自由な発想で描かれたこどもの絵を原案とした”ゆるかわ”な作品たち、ぜひシモジさんのSNSでも覗いてみてください。
【Creator's File】
シモジ ヒロミさん(東京都)
Instagram
@springmum09