レーヨンってどんな生地?生地の特徴を解説
まるでシルクのような風合いが魅力の「レーヨン」。衣服を中心に、幅広い用途で使われているレーヨンは、いまや私たちの生活に欠かせない素材のひとつです。そこで今回は、レーヨンの特徴についてご紹介していきます。
レーヨンとは?
レーヨンとは、木材パルプから取れる植物原料に薬品加工をして作られる「再生繊維」のひとつです。
つまりレーヨンは、ポリエステル・ナイロンなどの石油から作られる「合成繊維」とは違い、加工処理をすれば自然に帰すことが出来るので、環境にやさしい素材になっています。レーヨンはもともと、高級品であったシルクの代用品として開発されましたが、当時は強度や耐火性に問題がありました。
その後、科学の進歩によってさまざまな製造方法が開発され、現在私たちの身の回り品のほとんどには「HWM(ハイ・ウェット・モジュラス)レーヨン」と呼ばれる、丈夫さとしなやかさを兼ね備えた素材が使われています。また、レーヨンには「ビスコース」「モダール」「リヨセル」などいくつかの種類があり、衣料品を中心にさまざまな用途で重宝されています。
レーヨンの特徴
レーヨンは、もともと「人絹(じんけん)」と呼ばれていたほど、シルクによく似た素材です。また、植物系の原料を使っているので、「天然繊維」と「化学繊維」両方の特徴を持っています。ただし、シルクと同じようにデリケートな素材なので、取扱いの注意点もしっかり覚えておく必要があります。
特徴1:滑らかな肌触り
レーヨンの一番の特徴といえば、シルクのような滑らかな肌触りです。レーヨンは、とても細いフィラメント糸を紡いで作られるので、軽さと柔らかさ、そしてサラリとしたドライな心地良さを兼ね備えています。
特徴2:上品な光沢感
レーヨンには、シルクのような透明感のある光沢があります。そのため、オン/オフで使えるシャツ・ブラウスにはぴったりの素材です。また、レーヨンは染色性にも優れているので、美しい色の生地が豊富にあるのも魅力のひとつです。
特徴3:通気性に優れている
レーヨンは、通気性・吸湿性に優れているので、春夏の衣服はもちろん、秋冬衣服の裏地にも使われている素材です。この通気性の良さも、シルクの特徴とよく似ています。
特徴4:ドレープ性に優れている
レーヨンは、とてもしなやかで、ドレープ性に優れた素材です。この特徴は、衣服としての動きやすさと、見た目の美しさに大きく関係しています。
特徴5:価格が手頃
シルクとよく似たレーヨンですが、大きく違う点が価格の手頃さです。もちろん、シルクにしかない魅力はたくさんありますが、とくに普段使い用の衣類などにおいては、価格が手頃であることも大切なポイントです。
レーヨンの取り扱い上の注意
仕立てるのに向いているアイテム
レーヨンは、薄地で滑りやすい生地なので、ソーイング難易度はすこし高めです。また、レーヨン100%で作れるアイテムにも限りがあります。今回はレーヨン100%の生地でも作れるアイテムをご紹介しますが、レーヨンは他の素材と混紡する事で、縫いにくさ・強度の低さを補える生地なので、そちらもぜひ参考にしてみてください。
シャツ・ブラウス
レーヨンを使った春夏用のシャツ・ブラウスは、定番のおすすめアイテムです。肌触りの良さはもちろん、レーヨンは通気性・吸湿性に優れているので、汗をかく時期でもサラリと気持ちよく着ることができます。
パジャマ
滑らかな肌触りと、通気性の良さが魅力のレーヨンは、パジャマにもぴったりの素材です。扱いやすさを重視したい方は、コットンやポリエステルとの混紡素材がおすすめです。
裏地として
吸湿性に優れたレーヨンは、衣服の裏地に使われることが多い素材です。色のバリエーションも豊富で、価格も手頃なので、一生ものの1着を作りたい方には是非おすすめです。
レーヨンのお手入れの仕方
レーヨンは水・摩擦に弱い素材なので、基本的にはドライクリーニングがおすすめです。ただし、コットン・ポリエステルなどの混紡素材や、仕上げ加工によって水洗いが出来るレーヨンもあるので、かならず品質表記を確認するようにしましょう。また、水洗い可能な場合でも、決して水・摩擦に強いわけではないので、注意して取り扱うようにしましょう。
では、水洗い可能な生地の洗濯方法についてご紹介します。まずはじめに、レーヨンは水分を吸収すると生地の強度が落ちてしまうので、洗濯機は使用せず、軽めに手洗いするのがおすすめです。水温は、低すぎても高すぎても縮みの原因となるので、30度前後のぬるま湯を使用しましょう。洗剤は中性洗剤を使用し、決して揉んだり擦ったりせずに、優しく上下に動かして汚れを落としましょう。次に乾燥方法ですが、レーヨンは熱に弱い素材なので、乾燥機を使用することはできません。また、脱水をしすぎるとシワの原因になるので、多少水が残った状態で、天気の良い日に陰干しするようにしましょう。
レーヨンは、手頃な価格でありながら、特徴も風合いもシルクによく似た魅力的な素材です。ソーイング含めて少し扱いは難しいですが、春夏のシャツ・ブラウスにはとてもおすすめの素材です。ぜひ参考にしてみてください。