【ハンドメイド暮らし】クリエイターのお仕事ファイル~柚さん~
ハンドメイドをはじめた人なら一度は夢見る、ハンドメイド作家デビュー。
今では、ハンドメイド作家さん専用の販売サイトも増え、ひと昔前よりも手の届きやすい存在になりました。
そこで、nunocoto fabricでは、実際にヒット作やユニークな作品を生み出し、活躍されているハンドメイド作家さんにお話を伺い、リアルな暮らしを皆さんにお届けすることにしました。
nunocoto fabricで取り扱う布や、型紙を使って作った作品は、販売してよいものばかりです。この連載を通して、もう一歩、ハンドメイド作家デビューを目指す方のお役に立てたらと思います。
第4回目は、
暮らし×服 がコンセプトのkurasimuというサイトで、リネンの大人服の受注制作販売を行っている柚さん。現在インスタグラムには約15,000人のフォロワーがいます。
シンプルでセンスの良いkurasimuのHPでは、受注制作販売している作品や、販売アイテムのコーディネート提案に加え、日常のコラムなど、親しみやすいコンテンツも更新しています。
そんな柚さんのハンドメイド暮らし、そしてkurasimuが、現在のような人気サイトになった経緯について伺いました。
今では企業が運営しているんじゃないかと思うくらい立派なサイトになったkurasimu。
運営のきっかけは、とても身近な人への思いやりだったんだそうです。
柚さん:「自分で洋服を作るようになって、初めて母に希望の着丈の手作りのワンピースをプレゼントした時に顔を真っ赤して喜んでくれて、それがとっても嬉しかったことがきっかけです。母は、着丈にこだわりが強いのですが、もしかしたら、同じように着丈や、素材で悩んでいる方がいるのではないかな?と思いました。
そんな時、ブログやSNSから作ってもらうことはできますか?とお声を頂いてそれが受注制作販売の始まりとなりました。」
【お母さまへプレゼントしたワンピース】
自ら「販売するぞ!」というよりも、ちょうど良いタイミングでお客様からのお声がけがあったんですね。当時、HPの知識はほとんどなかったという柚さん。販売サイトの立ち上げは大変苦労されたそうです。
柚さん:「こんな風なサイトにしたい。というイメージはあったものの、パソコンの知識はほとんどないため、サイトを作ること自体がとっても大変でした。毎日本を読んではパソコンと格闘していました。」
受注制作の服を希望するお客様は当然、こだわりが強いはず。その方たちが納得する洋服を作り、今では洋裁を本業にされている柚さんですが、ハンドメイドをはじめたきっかけは、意外な人生の転機からでした。
柚さん:「仕事と通院の両立をするのが難しくなり退職したことがきっかけでした。
以前から、もし時間ができたら一度ゆっくりものづくりをしてみたいと思っていました。
もともと洋服のコーディネートを記録するブログを書いていて、その時に着丈でコーディネートのイメージが随分変わるなと感じていたのですが、なかなか自分が欲しいなと思っていたイメージ通りの素材や着丈がお店になかったことをきっかけに、自分で作ってみたいと思うようになり、洋裁教室に通い始めました。自分のイメージ通りの着丈と素材で洋服が出来た時の感動は今でも忘れません。」
ふと訪れた人生の休息期間に通い始めた洋裁教室。
このときは、現在のように販売サイトを持つことを想像していたのでしょうか?
柚さん:「受注制作販売ということや、個人のサイトを作ることは想像していませんでしたが、もともと、ハンドメイドのイベントに行くのが好きだったので、いつか私も作品を作って販売してみたいな、という憧れは持っていました。
なので、教室に通っている時はノートを頻繁にとって学んでいました。
自分以外の方が指導を受けている時も、隣に行って話を聞いていて、『随分熱心だね』と先生や生徒さんに驚かれたりしていました(笑)」
着丈へこだわり、そして周囲の人が驚くほど、洋裁を熱心に学ぶ姿、現在に至るまでは、人並みならない努力をされてきたのが伺えます。
ひとつのことをやりはじめると、とことん突き詰めていく姿勢、それは商品の素材選びからも伺えます。
柚:「着回ししやすいシンプルな形の洋服を製作しているので、素材選びにはこだわっています。一日着ていて着心地がいいなと感じられるもの。
カラーも、生地メーカーさんによって色の雰囲気が全く違うので、大人のナチュラル服に合うようなカラー展開の生地をメインに選んでいます。」
kurasimuのブログでは、ご自身のコーディネートの提案に交えて、お客様がSNSで投稿しているコーディネートなども紹介しています。お客様の投稿からは、商品への愛着が感じられ、柚さんの素材選びや、ものづくりへのこだわりがしっかりと伝わっているのが伺えます。
kurasimuで販売する商品のアイディアはどのようにして生まれているのでしょう?
柚さん:「景色が綺麗な場所を散歩している時や、好きな雰囲気の雑貨屋さんやカフェで目も心もリフレッシュしている時にアイディアを思いつくことが多いです。」
そして、洋服販売をはじめる前からコーディネートを記録していたこともあり、色合わせを考えながら服のイメージを膨らませることが多いのだそうです。
よく見る参考資料なども見せてくれました。
そんな柚さんが、今シーズン最も作りたいアイテムは、ワイドパンツ。
柚さん:「ベルギーリネンのワイドパンツは、履き心地が良く、個人的にもとても気に入っている作品なので、お客さまにも喜んで頂けたらいいなと思っています。」
nunocoto fabiricには、現在500種類以上の柄がありますが、お気に入りの柄や、作ってみたいものはありますか?
柚さん:「日なた(グレー)で、かごバックの中に入れる、あずま袋を作ってみたいです。」
シンプルで着まわしやすいお洋服を提案している柚さんならではの柄のセレクト。季節が感じられるかごバッグからさりげなく覗く日なた柄のあずま袋、ぜひ見てみたいコンビです。
柚さんは、現在、ご主人と、愛犬のぽっちゃりコーギーちゃんとの2人と1匹暮らし。いったいどんな1日を過ごしているのでしょう?
午前中は、細々とした作業をこなし、午後は制作に集中、そして夜はブログの執筆。仕事に集中する生活サイクルを作りつつ、家の事もしっかりこなしているんですね。
オーダー販売は、受注数が読めず、忙しい時期もあるかと思いますが、どのように乗り切っていますか?
柚さん:「朝の家事と夜の家事時間や順番を変えてみたり内容を変えてみたりと気分転換をしながら調整しています。また夫も協力的なので助かっています。」
そして、ブログには、縫製のお手伝いにお母さまや、86歳になるおばあさまが登場するなど、アットホームな投稿も見られます。
おばあさまがゴム通しを楽しんで協力してくださる姿には、読んでいて、思わずほっこりした気持ちになります。
ふと訪れた人生の転機から、洋裁のスキルアップをしていった柚さん。
洋裁教室で周囲が驚くほど熱心に学ぶストイックな一面と、ピンチの時は親子3代で明るく乗り切る温かな一面を併せ持つ柚さんだからこそ、『好きを仕事に』を実現できたのかもしれません。
もともと着丈や素材へのこだわりが強かったという柚さんイチオシのベルギーリネンのワイドパンツ、きっとこちらも着心地の良い一着なのでしょうね。
ぜひHPやSNSを覗いてみてください。
【Creator's File】
柚さん(栃木県)
Instagram
@kurasimu
ブログ
kurasimu 暮らし×服
https://kurasimu.com/